イザナギは黄泉の国から逃げて、葦原の中つ国に戻ってきます。穢らわしい身につけた衣服などを脱ぎ捨て、筑紫の日向の阿波岐の原で禊ぎをされます。
【本文】
是以伊邪那伎大神詔。吾者到於伊那志許米志許米岐。穢國而在祁理。故吾者爲御身之禊而。到坐竺紫日向之橘小門之阿波岐。原而。禊祓也。
【解説】
イザナギ大神が言われるには。吾はなんとひどくよごれた、穢らわしい国に行っていたのだろう。我が身を禊ぎしなければならない。筑紫の日向の橘小門の阿波岐の原で禊ぎ祓いされた。
【私感】
この筑紫の日向とは、一体、何処なのだろうか。日向が神話に出てくるのがもう一つあって、ニニギノミコトが天孫降臨した、日向の高千穂。この高千穂も二カ所あって、宮崎県と鹿児島県をまたぐ高千穂峰と宮崎県西臼杵郡高千穂町の高千穂峡。どちらも、昔の日向国。ただ、ここでは筑紫となっている。筑紫というと福岡県。でも、禊ぎをする場所としては、高千穂峡かな。ここには、アマテラスがスサノオと争って、天岩戸に隠れられた大きな岩も存在する。
ここでは、イザナギが身につけた衣服や装飾品を脱ぎ捨てる。そこから、新たに神が生まれます。この当時の服装がわかるシーンです。
【本文】
故於投棄御杖所成神名。衝立船戶神。次於投棄御帶所成神名。道之長乳齒神。次於投棄御裳所成神名。時置師神。次於投棄御衣所成神名。和豆良比能宇斯能神。次於投棄御褌所成神名。道俣神。次於投棄御冠所成神名。飽咋之宇斯能神。次於投棄左御手之手纒所成神名。奧疎神。次奧津那藝佐毘古神。次奧津甲斐辨羅神。次於投棄右御手之手纒所成神名。邊疎神。次邊津那藝佐毘古神。次邊津甲斐辨羅神。 右件自船戶神以下。邊津甲斐辨羅神以前。十二神者。因脫著身之物所生神也。
【解説】
つえを投げ捨てたところから、ツキタツフナトノカミが生まれた。次に帯を投げ捨てたところから、ミチノナガチハノカミが生まれた。次に袋を投げ捨てたところから、トキハカシノカミが生まれた。次に衣を投げ捨てたところから、ワヅラヒノウシノカミが生まれた。次に袴を投げ捨てたところから、チマタノカミが生まれた。次に冠を投げ捨てたところから、アキグヒノウシノカミが生まれた。次に左手の手纒(腕輪)を投げ捨てたところから、オキザカルノカミ、オキツナギサビコノカミ、オキツカヒベラノカミが生まれた。次に右手の手纒を投げ捨てたところから、ヘザカルノカミ、ヘツナギサビコノカミ、ヘツカヒベラノカミが生まれた。フナトノカミからヘツカヒベラノカミまで十二の神が、衣服や所持品から生まれた。
【私感】
黄泉の国で、身につけた物すべてに穢れが付いているという考え方。ここで生まれてくる神は、善意的な神というよりは、計り知れない力を持った霊魂を表している。その恐ろしい霊魂を払い除けて、穢れを禊ぎした。
イザナギは、衣服を抜き捨て、所持品を捨てて、裸になり、流れている川の一番よいところを選び、じゃぶんと飛び込んだ。
【本文】
於是詔之上瀨者瀨速。下瀨者瀨弱而。初於中瀨随迦豆伎而。滌時。所成坐神名八十禍津日神。次大禍津日神。此二神者。所到其穢繁國之時。因汚垢而所成神之者也。次爲直其禍而所成神名神直毘神。次大直毘神。次伊豆能賣神。
【解説】
上の瀬あたりは流れが速い。下の瀬あたりはながれが遅い。そう言って、中の瀬に降りて、水の中に入った。すると、ヤソマガツヒノカミが生まれ、次にオオマガツヒノカミが生まれた。この二神は、穢繁國(黄泉の国)で体に付いた穢れから生まれた神。次に禍々しいものを真っ直ぐにした。その時に生まれたのが、カムナオビノカミ、オオナオビノカミ、イヅノメノカミ。
【私感】
イザナギは水の中に潜って、邪悪な霊魂を取り除き、心身が曲がっている精神などを真っ直ぐに素直にして、禊ぎを行った。
イザナギは、穢れをすべて取り除き、住吉の神々が生まれます。
【本文】
次於水底滌時。所成神名。底津綿。津見神。次底筒之男命。於中滌時。所成神名。中津綿津見神。次中筒之男命。於水上滌時。所成神名。上津綿津見神。次上筒之男命。此三柱綿津見神者。阿曇連等之祖神以伊都久神也。故阿曇連等者。其綿津見神之子。宇都志日金拆命之子孫也。其底筒之男命中筒之男命上筒之男命三柱神者。墨江之三前大神也。
【解説】
水の底に沈んで最初に生まれた神は、ソコツワタツミノカミとソコツツノオノミコト。水の中程で濯いだときに生まれた神は、ナカツワタツミノカミとナカツツノオノミコト。水面近くで生まれた神は、ウワツワタツミノカミとウワツツノオノミコト。この三柱のワタツミノカミは、安曇連の祖で、そのワタツミノカミの子。ウツシヒカナサクノカミは子孫にあたる。ソコツツノオノミコトとナカツツノオノミコトとウワツツノオノミコトの三神は、墨江(住吉神社)の神々。
【私感】
今まで、穢れの霊魂が生まれてきたが、ここで初めて、海神系の神々が生まれる。それも、ヤマト王権に豪族、安曇氏が出てきます。そして、全国に普及している住吉神社の祭神も。また、墨江とは、大阪の住吉大社のある場所。現在でもこの地名が残っていますし、住之江と新しく名称が変わってもいます。
原始ブログ集まれ。
隠された古代史を探索する会
【本文】
是以伊邪那伎大神詔。吾者到於伊那志許米志許米岐。穢國而在祁理。故吾者爲御身之禊而。到坐竺紫日向之橘小門之阿波岐。原而。禊祓也。
【解説】
イザナギ大神が言われるには。吾はなんとひどくよごれた、穢らわしい国に行っていたのだろう。我が身を禊ぎしなければならない。筑紫の日向の橘小門の阿波岐の原で禊ぎ祓いされた。
【私感】
この筑紫の日向とは、一体、何処なのだろうか。日向が神話に出てくるのがもう一つあって、ニニギノミコトが天孫降臨した、日向の高千穂。この高千穂も二カ所あって、宮崎県と鹿児島県をまたぐ高千穂峰と宮崎県西臼杵郡高千穂町の高千穂峡。どちらも、昔の日向国。ただ、ここでは筑紫となっている。筑紫というと福岡県。でも、禊ぎをする場所としては、高千穂峡かな。ここには、アマテラスがスサノオと争って、天岩戸に隠れられた大きな岩も存在する。
ここでは、イザナギが身につけた衣服や装飾品を脱ぎ捨てる。そこから、新たに神が生まれます。この当時の服装がわかるシーンです。
【本文】
故於投棄御杖所成神名。衝立船戶神。次於投棄御帶所成神名。道之長乳齒神。次於投棄御裳所成神名。時置師神。次於投棄御衣所成神名。和豆良比能宇斯能神。次於投棄御褌所成神名。道俣神。次於投棄御冠所成神名。飽咋之宇斯能神。次於投棄左御手之手纒所成神名。奧疎神。次奧津那藝佐毘古神。次奧津甲斐辨羅神。次於投棄右御手之手纒所成神名。邊疎神。次邊津那藝佐毘古神。次邊津甲斐辨羅神。 右件自船戶神以下。邊津甲斐辨羅神以前。十二神者。因脫著身之物所生神也。
【解説】
つえを投げ捨てたところから、ツキタツフナトノカミが生まれた。次に帯を投げ捨てたところから、ミチノナガチハノカミが生まれた。次に袋を投げ捨てたところから、トキハカシノカミが生まれた。次に衣を投げ捨てたところから、ワヅラヒノウシノカミが生まれた。次に袴を投げ捨てたところから、チマタノカミが生まれた。次に冠を投げ捨てたところから、アキグヒノウシノカミが生まれた。次に左手の手纒(腕輪)を投げ捨てたところから、オキザカルノカミ、オキツナギサビコノカミ、オキツカヒベラノカミが生まれた。次に右手の手纒を投げ捨てたところから、ヘザカルノカミ、ヘツナギサビコノカミ、ヘツカヒベラノカミが生まれた。フナトノカミからヘツカヒベラノカミまで十二の神が、衣服や所持品から生まれた。
【私感】
黄泉の国で、身につけた物すべてに穢れが付いているという考え方。ここで生まれてくる神は、善意的な神というよりは、計り知れない力を持った霊魂を表している。その恐ろしい霊魂を払い除けて、穢れを禊ぎした。
イザナギは、衣服を抜き捨て、所持品を捨てて、裸になり、流れている川の一番よいところを選び、じゃぶんと飛び込んだ。
【本文】
於是詔之上瀨者瀨速。下瀨者瀨弱而。初於中瀨随迦豆伎而。滌時。所成坐神名八十禍津日神。次大禍津日神。此二神者。所到其穢繁國之時。因汚垢而所成神之者也。次爲直其禍而所成神名神直毘神。次大直毘神。次伊豆能賣神。
【解説】
上の瀬あたりは流れが速い。下の瀬あたりはながれが遅い。そう言って、中の瀬に降りて、水の中に入った。すると、ヤソマガツヒノカミが生まれ、次にオオマガツヒノカミが生まれた。この二神は、穢繁國(黄泉の国)で体に付いた穢れから生まれた神。次に禍々しいものを真っ直ぐにした。その時に生まれたのが、カムナオビノカミ、オオナオビノカミ、イヅノメノカミ。
【私感】
イザナギは水の中に潜って、邪悪な霊魂を取り除き、心身が曲がっている精神などを真っ直ぐに素直にして、禊ぎを行った。
イザナギは、穢れをすべて取り除き、住吉の神々が生まれます。
【本文】
次於水底滌時。所成神名。底津綿。津見神。次底筒之男命。於中滌時。所成神名。中津綿津見神。次中筒之男命。於水上滌時。所成神名。上津綿津見神。次上筒之男命。此三柱綿津見神者。阿曇連等之祖神以伊都久神也。故阿曇連等者。其綿津見神之子。宇都志日金拆命之子孫也。其底筒之男命中筒之男命上筒之男命三柱神者。墨江之三前大神也。
【解説】
水の底に沈んで最初に生まれた神は、ソコツワタツミノカミとソコツツノオノミコト。水の中程で濯いだときに生まれた神は、ナカツワタツミノカミとナカツツノオノミコト。水面近くで生まれた神は、ウワツワタツミノカミとウワツツノオノミコト。この三柱のワタツミノカミは、安曇連の祖で、そのワタツミノカミの子。ウツシヒカナサクノカミは子孫にあたる。ソコツツノオノミコトとナカツツノオノミコトとウワツツノオノミコトの三神は、墨江(住吉神社)の神々。
【私感】
今まで、穢れの霊魂が生まれてきたが、ここで初めて、海神系の神々が生まれる。それも、ヤマト王権に豪族、安曇氏が出てきます。そして、全国に普及している住吉神社の祭神も。また、墨江とは、大阪の住吉大社のある場所。現在でもこの地名が残っていますし、住之江と新しく名称が変わってもいます。
原始ブログ集まれ。
隠された古代史を探索する会