第7章 温故知新 第1節

 正月も過ぎ、授業が始まる前に大阪の知人、畑山俊一先生から講演依頼があった。大阪に行くのは久しぶりで、たつやが助手の時代に「稲作の発展と灌漑の進歩」という論文を作成するために、仁徳天皇が行った茨田堤で河内平野を調査したことがあった。
 以前の教え子で大阪出身の渡部流正くんがこの正月の年賀状で、大阪に来られたらお会いしたいと書いてあった。彼は確か、考古学を専攻していて、私の「日本人の起源論」の授業を受け、よく質問をしてくる生徒でした。私の部屋にもよく来てくれていた。卒業されてからも毎年、年賀状をくれる一人でした。渡部くんにも会ってみようか。渡部くんが卒業するとき、今回の講演の依頼してきた畑山先生に紹介して、確か、何処かの施設の学芸員として働けるように口添えしてくれた。そうだ、畑山先生に連絡して、渡部くんと会う予定を組もう。
 今回の講演内容は、畑山先生からの要望で、「弥生時代、河内平野に集った人々」というタイトルでお話をして欲しいとのことでした。それで、この年末年始の間に資料の整理を行い、レジメを作成していた。東京駅から新幹線を利用して、新大阪駅まで、そのレジメや資料に目を通し、名古屋駅を出たところで、畑山先生からスマホにメールがきた。
 「新大阪に着く頃、渡部くんが先生を出迎えるために改札口で待っていますのでよろしく。」
 渡部流正は、畑山先生からたつやが大阪に来ることを聞かされていたようでした。そして、新大阪駅の近辺のパーキングに自家用車を駐車させ、たつやが来るのを心待ちにしていた。たつやが乗車した「のぞみ」が新大阪駅に到着した。
 「先生、ご無沙汰しています。お元気そうでなによりです。」
 「渡部くんも元気でなにより。」
 「私の車を用意しましたので、畑山先生が予約されているホテルまでお送りします。」
 流正が運転する車は、新大阪駅から新御堂筋から御堂筋に入り、難波のホテルに到着した。そこには、畑山が迎えてくれた。
 「たつや先生、わざわざ大阪まで来て頂いて、お疲れさまでした。」
 「いやぁ、久しぶりの大阪で、年末から楽しみにしていました。それに、渡部くんにも会える。本当に良い機会を与えて頂いた畑山先生に感謝いたします。」
 「今回の大阪での講演を始めとして、渡部くんが先生のお世話をしてくれるようになったので。渡部くん、よろしくね。」
 「はい、たつや先生が大阪に来て頂いて、いろいろなお話や今まで疑問に思っていたことをこの機会にしっかりとお訊きしたいと思います。」
 「講演日は、明日の午後6時から1時間となっています。その後、懇親会を催す予定ですのでよろしくお願いします。それまでは、このホテルでごゆっくりとお過ごしください。」
 「そうですか。渡部くん、それまでお世話になるかも知れませんがよろしくお願いします。」
 「私、遠慮なんかしませんから。明日の朝から先生のお部屋によせて頂きます。」
 「では、畑山先生も渡部くんも、また、明日。」
 たつやは、ホテルインの手続きを済ませて、フロントで部屋の鍵を貰い、ホテルマンに案内されながら、畑山と流正と別れた。

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