第3章 渾渾沌沌 第4節

 ゴールデンウィークも終り、良祐は大学の日本語言語学の授業を受けていた。今日の授業の内容は、古代日本人の発音記号の説明で、母音が8種類あるという話で、何か退屈そうな様子でした。

上代日本語の音韻表
 「良祐、ゴールデンウィークボケか。何か眠たそうだね。」
 「神武天皇のことで頭が一杯で。」
 話かけてきたのは、大学に入学以来の友達で、同じゼミを選択した松井俊樹でした。
 「俊樹、たつや先生の部屋に一緒に行かないか。」
 「この授業は。」
 「この様な話より、たつや先生と話している方がおもしろい。」
 「仕方がない。つきあうか。」
 良祐と俊樹は、ソーッと立ち上がり、ドアを開けて退席した。たつやの部屋は別の棟にあり、桜が咲いていた通路を進み、たつやの部屋に着いた。
 「よぉ、りょう君ではないか。とし君も一緒か。いいとこに来たね。今、久米舞のビデオを見ていたところでね。」
 「これはどこの久米舞ですか。」
 「奈良の橿原神宮の久米舞なのだ。りょう君もとし君も一緒に見ようよ。」
 「先生、私の糸島では久米氏が神武天皇の時代にいて、東征のときに戦勝祈願の思いを込めて、歌に合わせて踊ったそうです。」
 「ゴールデンウィークで帰郷して、少しは調べてきたみたいだね。」
 「現在でも、宮中の新嘗祭で久米舞が演じられるそうですね。」
 「天皇家と久米氏の繋がりが深いのでしょうね。久米氏は、安曇氏、宗像氏、海部氏などの海人族で、入れ墨を入れた荒くれ者でしたからね。天皇家もその戦力を頼りにしていたのでしょう。」
 「この間、ホミミさまが英彦山に天孫臨降したとお話しましたが、ホミミさまの子のニニキさまも宮崎の高千穂に天孫臨降されて、そのときにアマツクメノミコトとアメノオシヒを伴って、高千穂の頂上に剣を差し込んだそうですね。」
三種の神器 「おぉ、そこまで調べましたか。アメノオシヒは、大伴氏の祖ですね。古事記によるとこの天孫臨降の際に、アマテラスはニニキに三種の神器を添えて、オモイカネとアメノタヂカラオとアマノイワトワケノカミを同行させたとあり、アメノコヤネもニニキに同行しています。これらの神は、アマテラスが岩戸にお隠れになったときにオモイカネが策を考え、アマノイワトワケノカミはその策を占ったフトダマの子、アメノタヂカラオは岩戸を開いた力持ち、フトダマと一緒にアメノコヤネも占った神。」
 「天孫臨降にたくさんの神が同行したのですね。」
 「アマノイワトワケノカミの子がアメノオシヒで大伴氏の祖、尾張氏の祖、海部氏の祖でしょ。アメノコヤネの子孫は中臣氏、アメノタヂカラオの子孫は紀氏。アマツクメノミコトが久米氏でしょ。」
 その時、氏族に興味があった俊樹が。
 「ヤマト王権は、氏族の集合体だったのですね。で、物部氏とか蘇我氏など後に政権の中枢になりますが、日本の神話ではどの神なのですか。天孫臨降の話には、彼らの神が出てこないのですか。あぁ、次の授業が始まる。」
 良祐は、俊樹に気を使いながら。
 「先生、この続きはまた聞かして頂きます。ここらで失礼いたします。」

にほんブログ村テーマ 原始ブログ集まれ。へ
原始ブログ集まれ。

PVアクセスランキング にほんブログ村

隠された古代史を探索する会
 隠された古代史を探索する会
隠された古代史を探索する会の会員登録