古墳時代の主な勢力 ヤマト王権と思われる纒向遺跡に箸墓古墳が存在し、日本最古の古墳だとされていますが、3世紀後半には福岡の那珂八幡古墳、石塚古墳、大分の赤塚古墳、徳島の宮谷古墳、兵庫の吉島古墳、西求女塚古墳、静岡の新豊院山2号墳、神奈川の真土大塚山古墳から三角縁神獣鏡が発掘されています。ヤマト王権の勢力範囲では、天理の黒塚古墳から。箸墓古墳からは三角縁神獣鏡は発見されていません。この三角縁神獣鏡は、邪馬台国の卑弥呼が239年に魏に遣使して、魏の明皇帝から100枚もの銅鏡を贈られた鏡ですね。それが全国の古墳群から発見され、古墳の造築時期を設定する基準のひとつとなっています。現在発見されている三角縁神獣鏡は、奈良の100枚が群を抜いており、京都の66枚、次いで福岡、兵庫の40枚以上、大阪が38枚、岡山で28枚以上とその他にも。卑弥呼が明皇帝から頂いた100枚以上の枚数で、日本で偽造されたようです。福岡の一貴山銚子塚古墳(4世紀後半の前方後円墳)には日本製の三角縁神獣鏡が8枚発見されていますから。邪馬台国の卑弥呼の死後、248年以降に三角縁神獣鏡は全国に散らばったわけですが、その経過がはっきりしない。邪馬台国が没落し、その配下にあった者が吉備や播磨などの大王にその三角縁神獣鏡を贈呈して、我が身の安全を図ったのか。或いは、新興勢力のヤマト王権が権威の象徴として、邪馬台国にあった三角縁神獣鏡や偽造の鏡を全国にばらまいたのかが分からない。ただ、4世紀になると備前車塚古墳(岡山市中央区)には出土した三角縁神獣鏡11面のうち9面は、京都の椿井大塚山古墳と同じ鋳型で作られた同笵鏡であるとされ、この古墳は『古事記』に記された「吉備上道臣之祖」大吉備津彦命が埋葬されているのではないかと言われています。また、この備前車塚古墳には埴輪が発見されていないことから、吉備の大王ではなくヤマト王権の重臣だったようです。
かわらけ投げの皿 3世紀後半の吉備の矢藤治山古墳では、三角縁神獣鏡以前の方格規矩鏡が発見され、円筒埴輪の原型とされる特殊土器も。中山茶臼山古墳には、三角縁神獣鏡が発見されていないが最古の埴輪が発見され、埴輪の製造にあたっては土師器の様式が使われている。土師器は、弥生土器の流れを汲み、日本全国に普及した土器で、現在でも一部で、厄除けや酒席の座興として「かわらけ投げ」がおこなわれるあの皿。土師器を生産する集団を「土師職」としていたが、仁徳天皇が土師氏と定めた。吉備にも明治時代よりもっと古い時代に吉井川中下流東岸から播磨国境と沖合の島嶼までを郡域として備前国邑久郡に土師郷があった。土師器の発祥地とも言われています。「邑久」は、おくと読みますが、古くは「邑久」の他に「大伯」あるいは「太伯」等と書き、「おおく」「おおはく」「おおあく」などと呼ばれていた。土師氏の出所は、やはり中国の戦国時代の呉の子孫なのだろうか。土師氏の祖は、『日本書紀』によると、出雲の勇士として扱われ、勇名をはせたヤマト王権の当麻蹴速と角力(相撲)を取らせて勝利したアメノホヒの末裔、野見宿禰です。野見宿禰は、その後垂仁天皇に従え、皇后、日葉酢媛命の葬儀の時、それまで行われていた殉死の風新宮宮内遺跡習に代わる埴輪の制を案出した。それから、野見宿禰は現在の兵庫県たつの市(播磨国立野)で死去しています。そのたつの市には弥生時代中期を盛期した大規模集落の新宮宮内遺跡(たつの市新宮町新宮・宮内)があり、その遺跡に三角縁神獣鏡が発見された播磨の最古の古墳、吉島古墳(たつの市新宮町吉島)があります。でも、この吉島古墳には、埴輪が発見されていません。たつの市御津町にある3世紀後半の権現山51号憤には埴輪が発見され、あの箸墓古墳も埴輪が。埴輪の起源は、吉備の都月坂1号墳とされ、矢藤治山古墳や中山茶臼山古墳であり、殉死の代わりに埴輪を使用する傾向は、早急に吉備から播磨へ、そしてヤマト王権の纒向に普及していった。埴輪が前方後円墳に存在したことは、その地に大王の存在があり、配下に部下がいた国家としての形態が整っていたと考えられます。もう一つ不思議なことには、たつの市御津町の権現山51号墳を除いて、最古の埴輪である都月形円筒埴輪と最古の前方後円墳の副葬品とされる大陸製の三角縁神獣鏡とが、同じ墓からは出土せず、一方が出るともう一方は出ないことが知られていて、この辺りをどのように考えるか。ヤマト王権が邪馬台国を滅ぼし、三角縁神獣鏡を奪い取り、各地の大王を征圧して、配下においたために、三角縁神獣鏡を与えたとも考えられ、そのヤマト王権の配下にあった地方国家では、埴輪を製作する必要がなくなったのか。或いは、ヤマト王権から派遣された重臣の古墳であるために、三角縁神獣鏡は発見されても埴輪がない。そんなことが推測されます。
都月形円筒埴輪
2017年9月10日

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