中国の文献によると三国時代(186年~280年)の三国志『魏志倭人伝』の邪馬台国の卑弥呼と壹與の話が266年で終わっていて、次に日本のことを記載しているのは、南北朝時代(439年~589年)の夷蛮伝 倭国の条『宋書倭国伝』で、421年に宋の武帝に使者を送り、倭の五王の「讃」と称された記事までの約150年余りが、日本歴史上、空白の時代と言われています。「讃」が応神天皇とか仁徳天皇とか履中天皇とかの説がありますが、この421年頃には、ヤマト王権が日本を代表する政権であったことは確かです。
 飛鳥時代に編纂された『古事記』や『日本書紀』では、神武天皇が東征してヤマト王権を設立したとなっていますが、これはその飛鳥時代の政権、天武・持統政権がヤマト王権の正当性を訴えるため、紀元前660年に即位したとなっています。全くの作り事と思います。ヤマト王権が九州から近畿の大和に東征したのは事実だと思いますが、それが神武天皇であったことについては疑問に思います。神武天皇が東征する過程で、『古事記』では安芸の国に7年も滞在していたのも疑問に思いますし、安芸の国で吉備王朝と戦い、7年後に吉備王朝とヤマト王権が手を結んだと考えるのが妥当だと思います。また、大和に東征した後、奈良県桜井市にある纒向に本拠地を置き、その吉備王朝の吉備津彦命と崇神天皇とは手を結び、勢力を伸ばし、奈良県桜井市にある纒向遺跡でも判るようにかなりの勢力のある集団が存在したことが考古学でも証明されています。そして、景行天皇はその纒向に纒向日代宮という宮殿を持っていた。その様なことを考えていると、応神天皇や仁徳天皇までのヤマト王権は、連合政権だったのではないでしょうか。記紀にしても飛鳥時代に編纂されたものであり、過去の事実を曲げてまでも、政権の正当性を主張することは有り得ることですから。
 この空白の150年あまりの時代に、吉備のように地方でも大王を中心にした王朝があったと思われます。その地方の王朝の大王の墓、権威の象徴として前方後円墳が築かれた。それが、応神天皇の時代。250年以降のことで、大型の前方後円墳、箸墓古墳が最古の古墳で、纒向遺跡の範囲内にあることは、崇神天皇、垂仁天皇、景行天皇が築いたヤマト王権の象徴だったのでしょう。箸墓古墳は、『魏志倭人伝』が伝える倭国の女王、卑弥呼の墓と囁かれていることは、私にしてはどうでもいいこと。ただ、奈良の桜井市あたりの纒向にヤマト王権が存在していたことを信じたい。箸墓古墳を宮内庁では第7代孝霊天皇皇女の倭迹迹日百襲姫命の墓だと設定しているが、これも疑わしい。孝霊天皇自体が存在していたかも疑わしいところです。私の試案で妄想かもし渋谷向山古墳れないが、崇神天皇、垂仁天皇、景行天皇が生存していたとすると彼らの誰かの墓だと思う。宮内庁では、奈良県天理市の渋谷向山古墳が景行天皇の陵だとしていますけれどね。神武天皇と崇神天皇の称号が「イワレヒコ」となっているように、景行天皇の称号は「タラシヒコ」で成務天皇や仲哀天皇と全く一緒なので、成務天・仲哀天皇は存在していなかった。景行天皇の後が応神天皇。そのように仮定します。日本武尊もいなかった。日本武尊の話は作り話。それに変わる英雄、或いはヤマト王権と手を結んだ地方の大王かも知れないと、一人ではないと思います。400年代の初頭の墓として、誉田御廟山古墳があり、応神天皇の墓だ前方後円形墳(長鼓墳)の分布と宮内庁は設定しています。すると350年頃には応神天皇が実権を持っていた。邪馬台国の卑弥呼が亡くなったのは、248年ころで、その頃から応神天皇までの100年間を崇神・垂仁・景行天皇がヤマト王権の権力を握っていたと私は解釈しています。
 250年頃から、朝鮮に兵を送った三韓征伐の主役は、神功皇后となっています。神功皇后が卑弥呼だという説もありますが、これも疑わしくて崇神・垂仁・景行天皇配下の豪族、例えば葛城氏あたりが朝鮮を攻撃し、一部の豪族が朝鮮半島の南側に勢力を持ち、応神天皇の誉田御廟山古墳を構築した後の450年頃に、5世紀頃の中国(宋)韓国の全羅南道・全羅北道に前方後円墳(長鼓墳)を構築した。その当時の400年頃、中国の南朝、宋を意識して朝鮮半島の南西側の海岸線に沿って前方後円墳を構築し、ヤマト王権の威厳を示し、413年~478年の間に少なくとも9回は宋朝などに使者を送っています。倭の五王の時代です。結局、前方後円墳は、その当時の権威の象徴として構築されたもので、500年頃になるとヤマト王権が全国を統一し、政権の権威を表わすことなどしなくてもよくなったので古墳が構築されないようになった。600年頃までは、地方の豪族の古墳は存在しましたけれどね。
2017年8月7日

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