ウルシ 冬が近づく晩秋になれば、紅葉が始まり、落葉が街のあちこちで見掛けます。この落葉をもたらす落葉樹林で、この落葉樹林の林床に生えているのが、落葉高木と言って、春先に花を咲かせ、夏までの間に光のエネルギーで地下の栄養貯蔵器官や種子に栄養素を蓄え、10月頃に果実を実らせ、葉は紅葉し、晩秋に落葉に、その後は春まで地中の地下茎や球根の姿で過ごす。温暖で水分に不足しない環境にある日本には、落葉高木の種類がたくさん生えています。その中にウルシも含まれていて、縄文時代から現代まで生殖している植物。山歩きをしていて、アレルギー症の方は、ウルシの葉に触れたり、近くを通るだけで皮膚がかぶれたりする植物ですね。そのようなウルシですが、このウルシの樹液を摂取して天然素材の塗料として昔から使われているのが漆です。漆製品は縄文早期から出土し、縄文時代を通じて出土事例が見られ、2,000年に北海道函館市で実施された垣ノ島B遺跡の調査で、出土した漆塗りの副葬品が約9,000年前に作られたものが発見されています。漆は熱や湿気、酸、アルカリにも強く、腐敗防止、防虫の効果もあるため、食器や家具に適していた。日本神話で漆の起源とされているのは、『以呂波字類抄』にヤマトタケルが宇陀の阿貴山で猟をしていたとき大猪を射たが、仕留めることができなかった。漆の木を折ってその汁を矢先に塗って再び射ると、とどめを刺すことができた。そのとき汁で皇子の手が黒く染まった。部下に木の汁を集めさせ、持っていた物に塗ると美しく染まった。という説話も残っています。
 日本では縄文時代から漆を生活に役立ててきたのは確かですが、工芸品としてはやはり中国で、長江文明の河姆渡文化(紀元前5,000年~紀元前4,500年)の浙江省の河姆渡遺跡から漆塗りされた紀元前7,500年~紀元前7,400年の木製の弓が発見され、現在中国の最古の漆工芸品とされています。しかし、日本では約12,600年前の漆の枝が福井県の鳥浜貝塚から発見され、更なる調査で技術的に高度な漆工芸品である「赤色漆の櫛」も出土、この他に、木製品、丸木船、縄、編物、その加工に用いられた工具なども相次いで出土しており、漆工芸品も含めた木材加工の関連品が発見されて、世界中で最古の漆工芸品となっています。北海道函館市の垣ノ島A遺跡の住居址では、縄文後期(約3,200年前)に作られた朱漆色の朱色注口土器が完全な状態で出土したことからも、「漆器は、弥生時代に中国からもたらされた。」と以前言われていたことが覆された。また、1998年に京都府舞鶴市の浦入遺跡から丸木船が発見され、鳥浜遺跡の丸木船よりも古く、当然のようにその丸木船には漆が塗られていたのでしょう。
会津漆器 漆染めには伝統的な色として黒と朱があり、黒は酸化鉄粉をウルシの樹液と混ぜ、朱は酸化第二鉄を含む弁柄(赤の顔料などにも使用)や硫化水銀からなる鉱物の辰砂とウルシの樹液を混ぜたものです。黒の漆はお正月のお重箱などに使われ、朱の漆はお稲荷さんの鳥居やお寺の構造物によく使われていますね。日本神話では、神功皇后が三韓征伐に行くときに兵庫県の西宮辺りで船を朱塗りにした話がありますが、これは漆に辰砂を混ぜたものと思われます。弥伏見稲荷神社生時代に鉄製造技術が中国から伝わり、渡来人である秦氏はお稲荷さんを氏神にしていた関係で、鳥居が朱に塗られた。仏教の伝来も中国から。このように漆は鉄からできる顔料と混ぜる必要性があったため、弥生時代に鉄とともに中国から渡って来たと言われてきましたが、実際には縄文時代草創期から存在していたことが最近わかってきました。
2016年12月11日

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